クライアントMTGの前後に組み込むべき5つのルーチン
こんにちは!FlowzのTOMOです。
最近、朝にプロテインを飲みながらタスクを整理するのが習慣になっているんですが、先日うっかりシェイカーを振る前のまま1時間放置してしまって、ドロドロの塊を飲む羽目になりました。。。
で、これを飲みながら思ったんですよね。「道具より前に、手順のほうが大事」って。
プロテインも、シェイクする順番(水が先、粉が後)を守れば美味しく飲める。順番を間違えると、どんな高級シェイカーを使ってもダマになる。
クライアントミーティングも同じで、ツールを入れる前に、業務フロー(ルーチン)をまず手で回して理解しておくのが先なんじゃないかという話をしたいと思います。
「AI議事録ツールを入れたのに結局使いこなせてない」「Notionを導入したけど更新されない」——このパターンのほとんどは、ツールの問題ではなくルーチンが未設計なまま導入した結果だと思っています。
今回は、クライアントMTGの前後に組み込むべき「5つのルーチン」を、MTG前・MTG後に分けて紹介します。
ただ、最初にネタバレしておくと、この5つを手動で全部、長期間回し続けるのはかなりキツいです。2ヶ月目くらいから崩れ始めて、3ヶ月目には半分しか回っていない、というのが自分のリアルな経験です。だからこそ最後に「どこをツールで自動化すべきか」という話もします。この記事は「手動で頑張ろう」ではなく、「手で一度回して理解した上で、必要な部分を自動化しよう」という話です。
目次
1. なぜツールより先にルーチンなのか
「ツールを入れれば解決する」——これ、以前の自分もそう思っていました。
でも、Flowzでクライアントワークを重ねるうちに、ツールは「やっている業務」をトレースするだけだということが見えてきました。業務自体が曖昧なまま高機能ツールを入れても、曖昧さがデジタル化されるだけで、何も良くならない。
逆に、業務フロー(ルーチン)が設計されて、一度でも手で回した経験があると、そのあとにツールを入れたときに「このツールは業務のどこを代替しているか」が明確に見える。順番が逆だと、ツールに振り回されて「便利そうなんだけど使いこなせない」で終わります。
ということで、まずは「まず手で回してみる」ためのルーチン5つを紹介します。紙とGoogleドキュメントがあれば始められる内容です。
ただ、繰り返しますが、これを長期間、手動で全部回し続けるのは実務的には難しいです。これは根性論ではなく、業務量と人間の記憶容量の話。なぜ難しいのかは、各ルーチンを紹介しながら都度触れます。そして最後に「だからどこをツール化するか」の話に戻ります。
2.【ルーチン①:MTG前】前回の会議の「未決定事項」を開く
いつやるか MTG開始の30分前
何をするか 前回の議事録(なければメモでもOK)を開き、「決まらなかったこと」「宿題になっていたこと」だけを眺める。決まったことは今日はもう見なくていい。
時間の目安 5〜10分
始めるときのコツ 前回の議事録に「未決定事項」というセクションがなければ、次回から作る。これがない議事録は、ほぼ全て「記録」で止まっていて、「次への橋渡し」になっていないです。
自分はこのルーチンを始めた時、毎回「前回何話したっけ」と5分くらい記憶を辿っていたのが、完全になくなりました。議事録を全部読むのではなく、未決定事項だけを見るというのがコツです。
手動で続けるときの現実 これ、1つのプロジェクトなら回せます。でも、プロジェクトが3〜5本並行すると、どの議事録のどこに「未決定事項」が書いてあるかを探す時間が馬鹿にならなくなる。Notionのあちこちに散らばっていたり、そもそも前回の記録者がセクションを作り忘れていたり。ここは後でツールに引き取ってもらう価値が高いポイントです。
参考プロンプト:
あなたはプロジェクトのアシスタントです。
以下の議事録から「未決定事項」「持ち帰り」「次回までに対応する宿題」だけを箇条書きで抽出してください。
決定済みの内容、報告事項、雑談は除外してください。
出力フォーマット:
- 項目:[内容]
- 担当:[名前 or 不明]
- 期限:[日付 or 不明]
- 関連する論点:[1行で]
【議事録】
(ここに前回の議事録を貼る)
並行案件が複数ある場合:
以下は直近4週間で開催された複数プロジェクトのMTG議事録です。
プロジェクトごとに「未決定事項」だけを抽出し、以下の構造でまとめてください:
# プロジェクト名
## 未決定事項
- [内容] / 担当 / 期限
期限が近い順に並べ、期限なしは末尾にまとめてください。
【議事録群】
(ここに複数の議事録を貼る、もしくはNotion/Parrotから引く)
3.【ルーチン②:MTG前】今日の会議で「決めること」を1〜3個に絞る
いつやるか MTG開始の30分〜1時間前
何をするか 今日のMTGで「絶対に決めたいこと」を1〜3個、紙かメモに書き出す。「議題」ではなく「決めること」。
悪い例:「デザインの方向性について議論する」
良い例:「トップページのファーストビューを、A案とB案のどちらで進めるか決める」
時間の目安 5〜10分
始めるときのコツ 4個以上になったら、それは1回のMTGに詰め込みすぎです。人間が1時間のMTGで決めきれることは、経験的に3個が上限だと思っています。
「全部話したい」気持ちはよくわかる(自分もそうでした)。でも、1時間で5個議論して1個も決まらないより、1時間で2個議論して2個決まるほうが、プロジェクトは前に進みます。
手動で続けるときの現実 このルーチン自体は紙とメモで回せます。でも、「今日何を決めたか・何が持ち越しになったか」が蓄積されていかないと、3ヶ月後に「そういえばあれ、いつ決めたっけ」が頻発する。結局、人間の頭に貯め込む運用になって、担当者が休んだ瞬間に機能不全に陥ります。
参考プロンプト:
私はこれから以下のクライアントMTGに臨みます。
今日のアジェンダ(暫定)を「決めること(=YES/NOまたはA/Bで答えられる問い)」の形式に変換し、最大3つに絞り込んでください。
各「決めること」について:
1. 問い(〜で進めるか?/A案かB案か?など)
2. 決めるために必要な情報・前提
3. 決めなかった場合に発生する遅延リスク
4つ以上ある場合は、優先度の低いものを「次回以降に持ち越す候補」として別枠に置いてください。
【プロジェクト概要】
(クライアント名・フェーズ・直近の論点)
【今日のアジェンダ(暫定)】
- ...
- ...
議題が曖昧な時の前処理プロンプト:
以下のアジェンダ案は「議論する」「検討する」「すり合わせる」など曖昧な動詞が多いです。
それぞれを「YES/NOで答えられる決定事項」に書き換えてください。
書き換えられない(=情報が足りない)ものは、その旨と、必要な追加情報を指摘してください。
【アジェンダ案】
- ...
4.【ルーチン③:MTG前】決まらなかったら次何をするかを事前に決めておく
いつやるか MTG開始の10分前
何をするか 「ルーチン②で決めた議題が、もし今日決まらなかった場合、次に何をするか」を事前に書いておく。
例:「A案/B案が決まらなければ、1週間以内に両案のプロトタイプを作って再度ユーザーテストに回す」
時間の目安 3〜5分
始めるときのコツ このルーチン、地味ですが一番効きます。
クライアントMTGで一番まずいのは、「決まらないまま、次に何をするかも決まらない」状態で会議が終わること。これが起きると、次の会議までの1週間が丸ごと空白になる。
事前に「決まらなかった場合のネクストアクション」を自分の中に持っておくと、MTG中に「じゃあプロトタイプ作ってから再議論しましょう」と即座に提案できます。これができるPMは、クライアントから「進行が速い人」と認識されます。
手動で続けるときの現実 このルーチンはPM個人の脳内で回せるので、ツール化の優先度は比較的低いです。ただし、前回の「持ち帰り」リストを見ながら組み立てる必要があるので、ルーチン2(前回の未決定事項を開く)が崩れると、こちらも連鎖的に質が落ちます。土台の崩壊は上流から来ます。
参考プロンプト:
以下の「今日決めること」のリストについて、それぞれ「もし今日決まらなかった場合のネクストアクション」を1つずつ提案してください。
ネクストアクションの条件:
- 1週間以内に着手・完了できること
- 「再検討します」のような曖昧な表現は禁止
- 検証・調査・プロトタイプ作成など、具体的なアウトプットを伴うもの
- 担当を明確にできるもの
【今日決めること】
1. ...
2. ...
3. ...
【プロジェクト制約】
- スケジュール:
- 体制:
- 利用可能なリソース:
5.【ルーチン④:MTG後】24時間以内に「決まったこと・決まらなかったこと」を1本のメモに整理
いつやるか 会議終了から24時間以内(できれば当日中)
何をするか MTG中に取ったメモを整理し、以下の構造で1本のドキュメントにまとめて関係者に共有する。
## 決まったこと
- XXXをYYYの方針で進める
- ZZZは今回のスコープ外とする
## 決まらなかったこと・持ち帰り
- AAAについては、BBBを検証してから再議論する(期限: MM/DD)
## リスク・懸念
- CCCの影響範囲が不明。要調査
時間の目安 15〜30分
始めるときのコツ 24時間を超えると、記憶が曖昧になって、後で書き直しが発生します。理想は会議直後、遅くとも翌朝には送る。
「丁寧に書こう」とすると時間がかかるので、最初は3つのセクションだけ埋めるミニマム版で十分です。完璧を目指して送れないより、ざっくりでも24時間以内に送ったほうが、プロジェクトは確実に前に進みます。
Flowzでは長いことこれができていなくて、「議事録を作る暇がない」状態が常態化していた時期があります。でも、ミニマム版(3セクションだけ)に切り替えたら、意外と続くようになりました。
手動で続けるときの現実 ミニマム版でも1本あたり15〜30分。プロジェクトが3本並行したら、週に90分〜180分をこの作業に取られます。さらに、「書いた人のフィルター」で要点がズレることも多く、別の参加者から「この合意、ニュアンスが違う」と差し戻されることも珍しくない。ここは録音ベースで構造化できる仕組みに任せるのが、精度と時間の両方で圧倒的に合理的です。
参考プロンプト:
以下のMTGメモを、関係者共有用の議事録に整形してください。
フォーマット(必須・これ以外のセクションは追加しない):
---
# [プロジェクト名] MTG議事録
**日時:** YYYY-MM-DD HH:MM-HH:MM
**参加者:**
**次回:** YYYY-MM-DD
## 決まったこと
- [動詞で終わる文。誰が・何を・いつまでに、が分かるように]
## 決まらなかったこと・持ち帰り
- [内容](担当:◯◯/期限:MM/DD/再議論の前提条件:◯◯)
## リスク・懸念
- [内容](要調査/影響範囲:◯◯)
---
トーン:簡潔・事実ベース。形容詞・副詞は最小限。
「丁寧に書く」より「正確に・短く書く」を優先してください。
【MTGメモ】
(MTG中に取ったメモを貼る)
6.【ルーチン⑤:MTG後】次回の議題ドラフトをその場で30分以内に作る
いつやるか MTG後のメモ整理が終わった直後(会議終了から30分〜1時間以内)
何をするか 今日のMTGで「持ち帰り」になった項目を元に、次回MTGの議題ドラフトを作る。箇条書きで3〜5項目でOK。
時間の目安 10〜15分
始めるときのコツ これが一番差がつくルーチンだと思っています。
ほとんどのチームは「次回の議題は、次回の直前に考える」。これだと、1週間空く。その1週間に前の文脈が薄れて、結局「前回の確認」からやり直す羽目になる。
MTG直後に次回のドラフトを作ると、記憶が鮮明なうちに次への橋をかけられる。結果として、次のMTGが「前回の続き」として滑らかに始まります。
自分の場合、カレンダーに「MTG終了直後30分」のブロックを標準で入れてあります。これをやるかやらないかで、プロジェクトの継続性がかなり変わります。
手動で続けるときの現実 このルーチンは個人の規律で回せるので、ツール化の優先度は相対的に低いです。ただし、次回議題はルーチン④(24時間以内の整理)の産物から生まれるので、上流が自動化されていないとここも崩れます。結局、ボトルネックはいつもルーチン④です。
参考プロンプト:
以下は今日のMTGの議事録です。
この内容を元に、次回MTG(予定日:YYYY-MM-DD)の議題ドラフトを作ってください。
ルール:
- 議題は3〜5項目に絞る
- 各議題は「決めること(YES/NOまたはA/Bで答えられる問い)」の形式
- 持ち帰り事項のうち、次回までに結論が出せそうなもののみ含める
- 各議題に「事前に必要な準備(誰が・何を・いつまでに)」をセットで記載
- 「前回の続き」ではなく、前回の合意を前提として次に進む議題にする
【今日の議事録】
(ルーチン④の議事録を貼る)
【次回MTGの制約】
- 時間:
- 参加者:
- 必須トピック(クライアント要望):
7. 手動では回しきれない——どこをツール化すべきか
この5つを手動で全部、3ヶ月以上回し続けるのには相当なコストがかかります。少し社内でも試しましたが、プロジェクトが3本を超えた時点で、ルーチン④(24時間以内の整理)から崩れ始めます。
なので、「ルーチンを理解した上で、崩れやすいところから順にツール化する」というのが現実解になのではないでしょうか。崩れやすい順に並べるとこうです。
最初にツール化すべき:ルーチン④(24時間以内の整理)
ここが一番人間に無理がかかる場所で、同時に一番ツール化の効果が出る場所です。MTG後にゼロから書き起こすのではなく、録音から「決まったこと/決まっていないこと/リスク」の3軸で自動抽出して整理メモまで一気に作る方向に切り替えます。
Flowzではこの部分にParrotという自社プロダクトを当てていて、実装している機能としては、
要件・合意・リスクの3軸抽出:録音から「決まったこと/決まっていないこと/リスク」の3分割を自動生成し、ルーチン④のミニマム版議事録をそのまま出力
HubSpot CRM連携:ルーチン④で整理した内容を、手作業の転記なしで商談記録に反映
会議をまたいだ文脈検索:ルーチン①(前回の未決定事項を開く)を、過去の全MTGから一発で引ける
データ保管は日本国内/学習データとして非利用:クライアントワークの会話内容をそのまま預けられる設計
このあたりが、3ヶ月目以降に手動で崩れる箇所と、ほぼ1対1で対応しているのがポイントです。
その次にツール化すべき:ルーチン①(前回の未決定事項を開く)
プロジェクトが複数並行すると、「どの議事録のどこに何が書いてあるか」を探す時間が業務時間を食い始めます。ここは構造化された記録と検索で解消できます。
ツール化の優先度が低い:ルーチン②・③・⑤
これらは個人の規律で回せる領域です。ツール化してもROIが低いので、手動で続けることを前提に設計するのが合理的です。
8. 結論:まず手で回し、崩れた順番でツール化する
ツール先行で入れると、業務が曖昧なままデジタル化されて、効果が出ません。
逆に、「手で2〜3ヶ月回して、自分のチームで何が崩れるか」を体感した後にツールを入れると、導入の失敗確率が劇的に下がります。なぜなら、「ツールが業務のどこを代替しているか」が肌感覚で分かっているからです。
そして、ここまで書いてきた通り、手動で全部を長期間回しきるのは現実的ではありません。ツール化は「贅沢品」ではなく「業務継続の必需品」に近い位置にある、というのが自分の今の見立てです。
9. 保存版:5つのルーチン・チェックリスト
そのままコピペして使えるチェックリストを置いておきます。クライアントMTGの前に、これを眺めるだけでもかなり違います。
▼ MTG前(開始の1時間〜10分前)
□ 前回議事録の「未決定事項」だけを開いた(5-10分)← 並行案件が増えたらツール化を検討
□ 今日「決めること」を1〜3個に絞って書き出した(5-10分)
□ 決まらなかった場合のネクストアクションを決めた(3-5分)
▼ MTG後(24時間以内)
□ 3セクション構造で整理メモを関係者に共有した(15-30分)← ★最初にツール化すべき
□ 次回MTGの議題ドラフトを作った(10-15分)
▼ 3ヶ月目以降
□ ルーチン④(24時間以内の整理)が崩れ始めたら、録音ベースの構造化ツールに移行
□ ルーチン①(前回の未決定事項)も、並行案件が増えたら検索可能な仕組みに移行
おわりに
改めて思うのは、会議の質は「会議中」ではなく「会議の前後」で決まっているということです。
会議術の本を読んでファシリテーションを学ぶより、この5つのルーチンを地味に回すほうが、プロジェクトの品質は上がります。自分の実感として、これは断言できます。
ただし、この記事の最初と途中で何度も書いた通り、5つ全部を手動で長期間回しきるのは、ほぼ無理です。2〜3ヶ月目から、ルーチン④(24時間以内の整理)から崩れていきます。これは根性の問題ではなく、業務量と人間の認知容量の構造的な問題です。
なので自分の結論は、
まずは手動で全部試す(紙とGoogleドキュメントでOK)
2〜3ヶ月経って「どこが崩れるか」が体感できたら、崩れた順番でツール化する
ルーチン④(24時間以内の整理)のツール化から始めるとROIが高い
という順序です。ツールありきでもなく、根性論でもなく、「自分のチームの崩れ方を理解した上で、必要な部分だけを自動化する」。これが一番長続きします。
クライアントワークをやっているPM・ディレクターの方がこの記事を読んで、「今日のMTGから1つだけ試してみるか」と思ってもらえたら嬉しいです。全部一気にやろうとすると続かないので、まずはルーチン②(「決めること」を1〜3個に絞る)だけを1週間試すのがおすすめです。そして3ヶ月後に「あれ、ルーチン④だけ回らないな」と思ったらその時はツールを探し始めるタイミングです。
(なお、このルーチン表を作るために自分のカレンダーを見返したら、MTG直後のブロックが入っていない週があって、そりゃ前の文脈忘れるわ。。。と思いました。定期的な棚卸し大事。)
以上、TOMOでした。




